アマゾンジャパン・渡辺弘美氏(1)

【アマゾンジャパン渉外本部本部長・渡辺弘美氏】

【アマゾンジャパン渉外本部本部長・渡辺弘美氏】

 

経済産業省出身で、現在はアマゾンジャパン合同会社にて渉外本部本部長をされている渡辺弘美氏にインタビューを行い、民間企業における政府渉外の仕事や役所との違い、キャリアチェンジにあたって参考となるお話などを伺いました。2回シリーズでお届けします。(その1)

 

-まず、渉外本部ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

いくつかの種類の仕事があります。そもそもアマゾンという会社自体が地球上でお客様のことを最も大切に考えるということを理念としておりまして、私の仕事も、その企業理念が実現できるような環境づくりを進めていくということだと思っています。

その中で二通りの仕事があって、一つは現行の法律や規制などがテクノロジーやイノベーションの進展に合わなくなってきているものを政府の方に説明して改正していただくという働きかけをしたり、今はルールが存在しないけれども新しいテクノロジーやサービスを受け入れてもらうために必要な環境整備を政府で行っていただくという働きかけをしたりする仕事です。

また、政府で考えている新たな規制案に関して、ビジネス視点で健全な活動にまで副作用が出ないような対案を出すなど、法律や規制、時には地方の条例に絡んで、政府や地方自治体の方に対して働きかける種類の仕事もあります。

さらに、ルールや規制に直接かかわるものではないですが、企業が取り組んでいることを正しく政府の関係者に理解していただき、政策立案者の方たちが日本や地域のために必要と考えている事に対して、一企業としてお手伝いできることを提案・協力するという仕事もあります。

例えば、最近の例ですと、日本のベンチャー企業の育成支援の観点からAmazon Launchpadというスタートアップ向け特設ストアを開設し、党や政府の方からも応援メッセージを頂戴しました。また、地方の例では、徳島県と協定を結んで、災害時に必要とされる支援物資を「ほしい物リスト」を活用してきめ細かく避難所などに提供できる体制を整備協力するといったことをしています。

 

-民間ならではの仕事の面白さや役所での仕事との違いを教えてください。

役所の仕事については、日本という国のために大所高所でものを考えるという非常にスケールの大きな点は今でも魅力的だと思っています。一方で企業の場合には、自分でやっていることの成果が、目に見える形で分かる、ということが大きいですね。役所の仕事はスケールが大きい反面、実際の結果として現場でどう変化が生じているのかが肌で感じづらかったり、成果が出るまで時間がかかるという中で、自分が今役所の中で作業していることの意味が見えづらくなることがありますが、民間では資料づくり一つにしろ、それがどう政策立案の現場にフィードバックされて物事がどう変わるかを早めに実感としてつかめることが仕事の魅力ですね。

もうひとつ、グローバル企業としての立場から、他の国のことも常にデフォルトで視野に入れてものを考えるようになったということもあります。公務員としてはどうしても日本の立場で考えざるをえないですが、グローバルにオペレーションしている環境の中でいつも日本以外の国のことも考えるようになりました。

(2017.2.10 聞き手:後々朋広)